第5話

たんと調べなさい

音楽用語にも語呂合わせがあって、有名どころでは、
「ソット ボーチェ」は「そっと」弾け
ノン タントの意味は「“たんと”でなく」

オルフ作曲、カルミナ・ブラーナの第2部“イン タベルナ”
タベルナの意味が「食べるな」といっても酒場のことです。

アレグロ マ ノン タント 〜 速すぎない

Allegro ma non tantoが出てくる有名曲は「第九」


さて、ネット時代になると、外国語を訳すことも手軽になってきました。
だいたいイタリア語辞典を持っている人はどのくらいいることか。
そこで、インターネットの翻訳サイトを使って調べてみました。

Allegro ma non tantoを調べてみましょう。

tanto は「それほど」と表示されました。正しくは「たんと」ではないのですねぇ。
それを打ち消すnon(ノン)をつけると、
non tanto 「多くのことでない」
これによって、「たんとではない」という意味になってきます。
さらに ma(マ)「しかし」をつけると、
ma non tanto 「しかし、多くのことでなく」
さてここで、前にアレグロをつけると・・・
allegro ma non tanto 「幸せであるが、それだけでない」
・・・となりました。何が不満なの?

よく似た Allegro ma non troppo を調べてみましょう。
troppo 「あまりにたくさんの」
non troppo 「あまりにたくさんでなく」
ma non troppo 「しかし、あまりにたくさんでなく」
allegro ma non troppo 「幸せであるが、あまりにたくさんでない」
・・・ほんとに、何が不満なの???

ベートーベン「運命」の第1楽章アレグロ・コン・ブリオは・・・
Allegro con brio 「活発さに満足な」
やっと元気になりました。

ちなみにアレグロだけで調べると、

allegro 「幸せな」

(ベートーヴェン/交響曲第9番より第4楽章
演奏会:1990年3月21日/第7回関西アマチュアオーケストラフェスティバル)

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